社団法人 日本材料学会 編,養賢堂
A5判196頁,定価2,730円(本体価格2,600円),ISBN 978-4-8425-0445-2




■解説(本文第1章より)
 (社)日本材料学会では、昭和62年に「実用信頼性工学」なる類似題名の専門書を同じく養賢堂より出版しており、機械・構造系技術者のためのハンドブック的な書物として既に産業界に定着している。この書は、7章構成の内で五つの章を信頼性工学の基礎概念・基礎理論・信頼性試験法・信頼性設計手法に充てており、残る二つの章で保守・点検やフィールドデータの取扱い・ケーススタディなど、実製品の信頼性保証技術が纏められており、全体として信頼性工学に関する基礎理論に重点をおいた編集がなされている。したがって、このたびの新規出版に当たり、可能な限り重複を避けるとともに、独立した出版物としての意義を付与する観点から、基礎理論については上記出版物を参照願うこととし、「信頼性工学」を産業界の現場で実際に応用する際に必要となる具体的な応用手法を中心テーマに設定して編集することとした。前書「実用信頼性工学」および本書「産業界における信頼性工学の応用」が、相互に補完し合う方式の姉妹編として多くの読者に読まれ、産業界で広く参照されることを通じて、信頼性工学のさらなる発展と社会的普及・定着に寄与することができれば、誠に幸いである。なお、機械構造物の信頼性設計において部材強度の統計的性質が基礎データとして不可欠であるが、この点については幸いにして養賢堂から過年出版された成書「材料強度の統計的性質」があり、材料種別ごとの材料強度の分布特性が系統的に掲載されているので、必要に応じてこの書を参照することができる。


[主要目次]

 第1章 緒  言
  1.本書出版の経緯
  2.本書の内容と特徴
 第2章 輸送機器および機械要素部品における信頼性工学の応用
  1.自動車の強度と信頼性保証技術
  2.自動車用セラミックス部材の強度と信頼性保証技術
  3.鉄道車両の定期検査と車軸の安全保証
  4.航空機構造体の信頼性保証技術
  5.軸受の長期寿命保証技術
 第3章 エネルギー機器および建築構造物における信頼性工学の応用
  1.火力発電機器・プラントの予防保全技術
  2.原子力産業における信頼性工学応用の現状と課題
  3.建設業における信頼性工学の応用
 第4章 電子・情報システムにおける信頼性工学の応用
  1.電子部品実装における保証試験と信頼性評価
  2.情報産業における信頼性工学の発展・普及
 第5章 結  言
  1.本書刊行の背景と狙い
  2.産業界における信頼性工学手法適用の重要性
 索引